風 景

長 崎


 針尾送信所


   訪問日


 2013年11月


詳 細


 佐世保市 針尾島にある海上保安庁の送信所です。
 現在は使用されていない針尾無線塔は旧日本海軍が建設しました。
 国内にある自立式の電波塔としては、古さ高さとも一番です。
 1997年まで海上自衛隊と共同で針尾無線塔を使用していました。

 「旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設」として国の重要文化財に指定されています。
 1918年(大正7年)着工、1922年(大正11年)に完成した3本のコンクリート製の塔から成ります。
 1号塔と2号塔が135m、3号塔が137mで直径が最大12m、厚さが76cmとなっていて、300m間隔で正三角形に
 配置されています。

 ただの電波塔なのにこんな大きな施設となったのは、当時の長距離通信は長波が使われており波長の関係から
 広く高くなりました。短波・マイクロ波・人工衛星など通信技術が発達した現在からは考えられない大きさです。


 太平洋戦争開戦の暗号「ニイタカヤマノボレ一二〇八」を送信したと言われていますが、太平洋艦隊へ実際に送信したのは
 千葉県 船橋市にあった船橋送信所(行田無線塔)です。
 ただ、「ニイタカヤマノボレ」の暗号はこの送信所からも送信されたと言われています。(記録は残っていませんが)
 瀬戸内海に停泊中の連合艦隊旗艦「長門」が打電し、有線ケーブルで佐世保まで送信されこの針尾送信所から
 中国大陸や南太平洋の部隊に伝えたと言われています。


 完成から90年以上が経ち長らく放置されてきましたが、遺産としての価値があり保存を求める声が高まったのと、
 耐震診断の結果まだ充分に大丈夫という事、重要文化財に指定された事が追い風となり、少しずつ周辺の整備が行われ
 現在は3号塔のみ観光することが出来ます。

 また、海自OB会の方がガイドをしており、電波塔の成り立ちや構造、当時の状況などを詳しく説明してくれます。
 さらに塔の中の見学までさせて貰えるので、立ち寄った際は受付へ行くのをおススメします。

 近くにはハウステンボス西海橋があります。


行き方


 針尾島へは佐世保市内から国道35号線を南に行き、国道202号線に入ります。
 長崎市内からは国道206号線を北上します。
 西海パールライン 針尾I.C の南にある交差点を西へ行き、円形道路の中心にある「佐世保海上保安部 針尾送信所」
 を目指すと行けます。






西海橋から。
かなり目立つのですぐわかります。




周囲はみかん畑になっています。
畑の中に生えている様な感じで立っています。




説明看板と。
針尾送信所についての詳細が書かれています。




別の塔。




右の建物は現在の針尾送信所。
左の基礎は旧針尾送信所の職員宿舎跡。
昭和二十年代に火災で焼失したそうです。




公開されている3号塔。
基礎部はかなりの大きさです。




天に向かって伸びている様です。
コンクリートの縦筋は1.2mあります。
筋は型枠の跡だそうです。




上部をアップで。
足場は点検台です。




天辺にはかつてワイヤーを張るための台座があったそうです。
三角形の形から「かんざし」と呼ばれていたそうです。




塔の入り口。
普段は鍵がかかっています。




塔内部。
ガイドの方が鍵を開けてくれます。
中央の円柱状の物は、ワイヤーを張るための錘だったそうです。




頂上部ははるか彼方です。




ワイヤーを張る為の装置。
手動で調整していたそうです。




休憩所の様に見えますが、監視所だったそうです。
見晴らしが良いので住民が上がってきたそうで、軍事機密上ここで上がってくる住民を監視していたそうです。




シルエットで見るとかなりの迫力があります。
遺産として後世まで残っていてほしいです。




かつての油庫。
現在は受付として使われています。






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